ベニフロレの農家のふもとに、レス·ヌエベ·オリベレス(les 9 Oliveres)と呼ばれる段地があります。美しさと豊かな歴史で知られる町、コンセンタイナに隣接した地域です。この地域はオリーブでも知られています。樹齢1000年のオリーブの木が9本あるこの地は、まさにオリーブオイルの楽園です。
この高台は「デ·ラ·コロナ」と呼ばれる地域にあります。19世紀、この地は頭頂を剃髪する聖職者の教会領でした。その独自の髪型には「コロネータ」というニックネームが付けられ、そうして剃髪した頭頂を思わせる風景が広がるこの地にも同じ呼び名が付けられました。「コロネータ」の伝説はこのようにして生まれました。
コセンタイナの畑には、19世紀までさかのぼる非常に豊かな伝統があります。この地域の農業の発展を担ったのは、コセンタイナの熱心な農夫でした。 農夫は古くから農業に深く携わってきた名家、カルボネル家の生まれでした。
それ以来、現在までにその伝統は4代以上にわたって受け継がれてきました。 とは言え、当初から変わったことは何もありません。言い換えれば、コセンタイナの畑は、オリーブ栽培にかけては今でも品質の代名詞となっているのです。さらに、この地域のすべての分家の中でも最古の分家は、今でも威信と伝統の象徴となっています。その分家とはもちろん、9 Oliveresです。驚くほど標高が高く、地元の風景に溶け込まない反抗心すら感じさせるこの農園は、時の流れの目撃者でもあります。
この畑のオリーブの木はとても長い伝統を下敷きにしています。ローマ人や西ゴート人にはじまり、アラブ人やキリスト教徒まで、様々な人たちがこの地を歩いてきたのです。この地の樹齢1,000年の9本の木々は、偉大なるアラゴン王ジェームズ1世の征服まで目撃しています。しかし、こうした悠久の時が、この輝かしいオリーブの木々が生み出す調和を脅かすことはありませんでした。これらの木々はかつて繁栄した種で、非常に高品質な果実の起源でもあり、今日に至るまで伝統と品質を伝えてくれています。運命に翻弄されながらも耐え抜いた真の自然の驚異と言えるでしょう。時代の荒波に揉まれて多くの風景が失われていく中、木々の姿は堂々としたものでした。この木々こそがまさに時代を超えた栄光の記念樹です。
エル·マセトやハケラの農園も、さまざまな革新を経てきました。カルボネル家の若手後継者たちが導入した最新技術は、すぐに先代の純粋な手作業に取って代わりました。その結果、目を見張るほど素晴らしいバレンシアオイルの風味を楽しめるようになりました。千年の時が醸し出す香りと、現代の最も厳しい製造基準によるクリアな風味を兼ね備えています。
9 Oliveresのオリーブの木は、時の試練を見事にクリアしています。これらの木々は、時の流れと共に機微を伝える貴重な遺産として認められ、知られ、堪能されるに値する歴史を有しています。